ち ち

 
今日、病院に行ってきた。かれこれ熱が下がらん。

この歩いて15分弱にある病院は、この10年の間にオトン&オカン&兄貴と入院させたところでもある。

ある時期は、こっちが動きが取れんようになったんで、別の所に入院してた兄貴に転院してもうて三人ま

とめてどうや!状態やったこともあった。

そんなんで、ここの事は駆け出しの職員よりも詳しかったりするから、今も近在の人から何かときかれた

りもしてたりする。


オカンはここで死んだ。

毎日二回ほど見舞に行ってたけど、死んだ日は昼に見舞に行ったら、もう話す力ものうなてった。

夕方にもう一回行った時もおんなじやったんで、病院の人に何かと頼んで帰った。

ほんまは、もうちょっとおりたかったけど、オトンと兄貴の飯も作らんとアカンかったんで帰った。

日曜日のことやった。

日付が変わる頃、病院から電話があって、着いた時はもうオカンは死ぬ準備に入ってた。

最後を看取って、オトンと兄貴をいったん家に連れて帰って、一人で夜中の2時頃歩いて病院に行った。

何かとコノ世の段取りを済ませて一段落したけど、葬儀屋の車は6時頃でないと着かんという。

車が着くまでの間、煙草も吸えんしで、オカンの横に座ってボォ~としとった。

けど、あんまりにも時間が経たん。

そんなんで、これで最後やのぉと思うて、オカンの乳を直に触ってみた。


オカンの乳はゴムで出来てるみたいに冷たかった。


あれからこっち、オカンというと、あの冷たい感触を思い出すようになってもうた。

あの感触は、オカンから「もうお前をどうしてやることも出来へんねんで」と言われてる気がした。

ほんで、こっちも「もう、オカンをどうしてやることも出来へんなぁ」というような気持になった。

今日も病院で、そんな具合なオカンの乳の感触を思い出してしもうた。

残ったもんも、逝ってもうたもんも、悔いだけが残るのはなんでや?


そんだけ。