なあ、僕と共鳴せえへんか?
梅田に出る。
そろそろ仕事せんとアカンのでゴソゴソ動いてるけど目処はまだ立たん。
それより煙草や。
ほとんど浦島状態なので、煙草を吸う場所として記憶している所はほとんど撤去されてまんがな。
知り合いに電話して「毎度!あんなぁ、あの辺りで煙草吸うとこあるか?」と情報を集めるのに忙しい。
煙草を吸うために喫茶店にはいるほど落ちぶれてもいない。
お巡りさんが目立ったのは秋葉の件でだろう。
お巡りさんがぎょうさんおって安心な状態って・・・やめとこ。
いつも通り、古本屋に寄った。
織田作之助の初版がそれほど高くない価格で並んでた。
髪質も悪くて、なんか悲しくなった。
むかし、パーカーをジャズ喫茶でリクエストするアホがおったけどそんな感じや。
今はデジタル処理とかいうのをやるそうだからどうか知らんけど、むかし、あの音源のままジャズ喫茶の
スピーカーで流れるパーカーはガリ刷りの詩集みたいに悲しかった。
話を戻して。
・・・戻ったからって大した話やない。
織田作の『青春の逆説』の初版(戦後の)があった。
『青春の逆説』は昭和十六年夏、風俗壊乱の理由で発禁となっている。
青空文庫でもよめるけど、どない読んでも、どこがお上の気に入らなかったかがさっぱりわからん。
発禁から半年後センソーがはじまった。
なあ、僕と共鳴せえへんか?
これは織田作の口説き文句だ。
若い時、使こうたろ思うてやってみたけど「せん!」とはっきり言われること多々。
余韻の一つもなかった。
小さい子供が「織田作が来たぞぉ」と路地で仲間に知らせたようなショーセツ家は珍しい。
でも、大阪で生まれ育った男はどっかに織田作的なものを持ってる気がする。
だから織田作は気になるのだ。
織田作は1月10日、つまりは十日戎の日に死んだ。
梅田で会った男と<愛とセーシュンの焼きそば>を食った。
ビィルも飲んだ。二人で一本やったけど。
右の奥歯がうずく。
そんだけ。