九四の歩
週一でF元君の仕事を手伝うことになった。
もちろん、ロードー後の酒もついてる。
ビョーキ男との暮らしもええ加減煮詰まってるので、週一回くらい、世間の風にあたるのも正解やろう。
何とか時間を工面しよう思う。
汁と麺両方でカレーの味がするという優れもの。
「カレー麺ざる」もあるけど、こっちはまだ食ったことがない。ちょっと勇気がいるなぁ。
噂の【宇宙家族】]は入ったことがない。
「UFO定食」とか「DNA定食」なんてのがあるそうやけど・・・。
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ホンマは昨日書くつもりやったけど、F元君と飲み過ぎた。
その時、木村八段の初手七六歩に対して坂田三吉は九四歩の二手。
この将棋史上初の一手に木村も周りもあんぐり。
勝負は坂田三吉の負けに終わる。
この横紙破りの手を新聞で読んだ織田作之助は『聴雨』の中でこう書いている。
「坂田はやつたぞ。坂田はやつたぞ。」と声に出して呟(つぶや)き、初めて感動といふものを知 つたのである。私は九四歩つきといふ一手のもつ青春に、むしろ恍惚(くわうこつ)としてしまつ たのだ。 私のこの時の幸福感は、かつて暗澹(あんたん)たる孤独感を味はつたことのない人には恐らく分 るまい。私はその夜一晩中、この九四歩の一手と二人でゐた。もう私は孤独でなかつた。 -『聴雨』より
ほな。