弥 七

 
商店街をヘコヘコ歩いとったら、本名で声をかけられた。


けど、低人!と声かけられる方が気持ち悪いから、そないにビックリするもんでもない。


古ぅ~い知り合いやった。十何年ぶりになるか。


「おい、おまえワシが髪のうなってるのにようわかったなぁ」


「お前の顔は、髪のあるなしの問題ちゃう」と言いよった。


こいつが何をゆうてんのか意味がわからん。


ちょっと行こかで、立ち飲みに。


何かと熱く語って、手伝ってくれと言われたけど・・・思い出した。


こいつ、むかし「口車の弥七」と言われた男やった。


ビィル1本で別れた。




そんだけ。