は ん な り

 
だいぶと前に、今は古書店から画廊に商売替えをしたカッパ横丁の加藤京文堂で千円で買うた、織田作之

助の『わが町』を読んでたら、こんなんがあった。

 「阿呆んだらめ!」

 他吉は叱りつけて、

 「家の中でごろごろして借金がかえせる思てるのか。いったい、これからどないする気や。もちっと

 はんなりしなはれ」

                        -織田作之助『わが町』


はんなり


テレビで安モンのレポーターが「はんなりした味ですねぇ」なんてゆうてると、「はんなり」も「まった

り」も「ほっこり」も「もっこり」も一緒くちゃにしてるんとちゃうかと思うたりする。

・・・「もっこり」はないか。

そんなことで、牧村史陽編の『大阪ことば事典』をひいてみた。

 ハンナリ(副)

 はなやか・はればれ・明朗・くすんでいない(気質や色彩などについていう)。

 花にあり→花なり、あるいは、ほんのりの訛ではないかなど、かって、難解大阪弁研究会で種々の

 説が出たが、結論には至らなかった。(大阪ことば事典)

はんなり


京都弁や思うてたけど、大阪でも使こうてたんや。



おまけで、むかしの記事から「ややこしい」について。

これも織田作之助の作品からのもんですが、暇があったら考えてみてくなはれ。

 「ややこしい」という言葉を説明することほどややこしいものはない。

 複雑、怪奇、微妙、困難、曖昧、――などと、当てはめようとしてもはまらぬくらい、この言葉は

 ややこしいのだ。

 「あの銀行はこの頃ややこしい」、「あの二人の仲はややこしい仲や」、「あの道はややこしい」

 「玉ノ井テややこしいとこやなア」、「ややこしい芝居や」みんな意味が違うのだ。そしてその意

 味を他の言葉で説明する事は出来ないのだ。

                            ―織田作之助『大阪の憂鬱』より 

では、①~⑤に当てはまるものを次の(A)~(E)の中から選んで下さい。

   ①あの銀行はこの頃ややこしい

   ②あの二人の仲はややこしい仲や

   ③あの道はややこしい

   ④玉ノ井テややこしいとこやな

   ⑤ややこしい芝居や


   (A)複雑  (B)怪奇  (C)微妙  (D)困難  (E)曖昧


ほな。