うつむいて

 
昨日の事。

フッと顔を上げたら、桜が咲いておった。

そうか、もうそんな季節やねんなぁと思いながらも、ん?何で気ぃつけへんかったんや?

この頃は俯いて歩いとる。

兄者が逝って、早よシミジミしたりたいという思いと、世間の約束事を果たさなアカンが、せめぎあって、と

りあえず俯いて歩いとるような具合やろなぁ。

うまいこと、折り合いつけてないんやろ。

そう云うたら、去年のこと。

F元君に引っ張り出されて、天満で花見したけど、そん時に、桜を見んと俯いて早足で歩いて行ったサラ

リーマンおったけど、今のワテも、あないな具合かもしらん。

「人にはみんな、ひとりづつ、『その日の天使』がついていて、どんなに絶望的な気分になっても、様々な

姿をした天使が助けてくれる」と、らもさんが書いてた。

この頃の、ワテの天使は酒。

夜、酒入ってるときだけ、心が軽うなる。

それはかまわんけど、桜も人の世や、その人の事情に関係なく咲いとる。

人の世から、いっちゃん遠いようなもんが、その日の天使やろ。

なんの偶然かしらんけど、生き残っとる以上、顔上げて桜咲いとることくらい気付いたらんとなぁ。

あと何年、桜を観るんかは知らんし、何事もなかったかのようにみることはないやろけど。


ほな。