『赤頭巾ちゃん』は安かった

実家に戻って一年ちょいになる。

商店街を歩くと、いろんな店のおっちゃん、おばちゃんに声かけられるようにもなった。

おねえさんからはない。


町に詳しくなったといっても、買い物中心となるから、その他の場所に行く機会は滅多にない。

歩いて五分の書棚代わりの図書館。

同じ施設内のスポーツセンターで運動したことにして入るちょっとした浴場。

立ち呑み2軒。

スナック「酒と薔薇」。ここは商店のオヤジが集まる。滅多に行けんけど話しを聞いてるだけで楽しい。

そんなもんだ。


よくあることだけど、今日は雨も降ってたので道順を極端に変えてみた。

線路沿いに<古本祭り開催中>と小さく書いてるの発見。

入ってみると、なんでこんな場末に?と思うほどの古本の量だ。

訊けば、1・2階あわせて10万冊はあるという。

読む、読まないは別として大量の本に囲まれると異常に興奮する。

チャップリンの『独裁者』で、主人公が地球儀で踊っている場面があるけどそんな感じだ。

世界を手に入れたような気になるのだ・・・ようするにアホです。


ざっくりと書棚を見てみた。

分類がいわゆる古書店とは違う。それと場末の古本屋にありがちなコミックとエロ本がほとんどない。

そのかわり、アジア関係の書棚は充実している。

どういう古本屋かをもう一回訊いてみた。

ようするに、アジアからの留学生向けの施設を建てるを目的に資金集めの一環でやってるらしい。

古書店の鑑札は持ってるのだろうけど、どうりで本業の古書店とは配列や価格設定が違うはず。

しかも、本は寄贈が中心。

ということは?こうした運動に賛同して本を寄贈する人を想定したら蔵書の内容もほぼわかる。


まだ時間があったので、さっそくジャングルの奥へ。

五分もすると顔がゆるゆるになってるのが自分でもわかる。

とりあえず、挨拶代わりに買ったもの。


*『骨を噛む』上野英信が700円。

*『唯一者とその所有』片岡敬治訳(現代思潮社)が上・下で400円。

 …「かって辻潤が『自我教』として訳出した孤絶の論理の新完訳」と表紙にもある。探してたのだ。

それと、庄司薫。初版もあったが、それはあんまし気にならない。とりあえず出た時の単行本だ。

*『赤頭巾ちゃん気をつけて』庄司薫が200円。

*『さよなら怪傑黒頭巾』が400円。

*『白鳥の歌なんか聞こえない』が300円。

『ぼくの大好きな青髭』が200円。

おいおい、庄司薫の四部作が1100円。大阪ふうに言うと、しぇんひゃく万円や。


どうも、古本の流通状態で価格を決めないで、きれい、きちゃないで決めてるようだ。

安いにこしたことはないけど、それよりも、そこにあるのがうれしいのだ。

ネットで著者と書名を見ても思い出せないけど、実物を見ると発作的に内容を思い出したりするのだ。

まだまだ宝はある。何冊か見つけてもいる。

毎日の買い物のコース変更であります。

明日も行ったろ。