独り言病のおとこ達
昨日は久しぶりに梅田に出ていた。
この頃やたらと目に付くのだけど、街中でブツブツと独り言を言っている男がけっこういる。
といっても、変なオジサンではない、いたって平均的な普通の姿格好をしている。
むかし、ドヤの一畳そこそこの部屋に住む男たちの中にも独り言男はけっこういた。
パチンコ屋、公園、立ち飲み屋、現場、ドヤでブツブツと独り言を呟いている。
延々と自分の半生をしゃべり続けていたオッサンもいた。
そんなのと似たような感じだ。
ずいぶん前の話。
釜ケ崎のドヤ街を歩いていて「大阪もワンルーム・マンションブームですね」といった東京の人がいた。
そのことを無知と笑うつもりはない。たしかにドヤとは旅館・ホテル業であるからだ。
むかし、「立てる一室 百三十円より」というのがあった。
もちろん、立っても天井にぶつからないという意味だけど・・・。
今は外面はキレイキレイになっている。
しかし、実態は何も変わらないし、むしろ「スラム」というものが都市の中に飛び地的に散在してきてい
るような気がしてもいる。
スラム=不衛生とか老朽住宅というイメージはもう古いのだ。
落層者の行き先はとりあえずは、小奇麗でありながらも、ますます孤立させられているのだ。
街中で独り言を呟いている男を見るたびにそんな事を感じたりする。
そういえば、赤軍派と呼ばれた学生が釜ケ崎の交番を襲撃した1969年。
革命が成立して、ともかくも労働者がバンザイを叫ぶ時が、もしあるとすれば、
その時は、私はヤケ酒をあおっている時です
そう書いた若い詩人がいた。スゴイと思った。この地点まで届く言葉を持っている人がいる。
そんな事に感動したりする横で、警察が主導する町を明るくする会の標語があったりした。
腹を立てるな 不平をいうな ものを苦にすな 笑顔でくらせ・・・
・・・アホな。