寺島珠雄

   
寺島珠雄の存在は私にとって重い、私のみならず、かって窮民の街に沈淪したなべての老兵にとって、釜

ケ崎でいま労働・放浪している彼の生きざまは、まさしく革命そのものなのである。

制度を以って制度に換えることをすなわち革命であると信じている人は、私のいう意味に理会しないであ

ろう。

いつか「ガード下のごみ棄て場が隊伍を解いて動き出してくる」その日を、私は寺島と等しく夢に観る。

いくつもの秩序の廃墟の遠い地平に、「詩」と表現するしかないまぼろしを描くのである。

きょうは酒を飲み,あすは筆を執ってその幻影を人々に語りひろめること。前に出ようとうしろに控えよ

うと,それは革命ではないのか。

石を投げるべき時には,若い衆の後からついていって,せっせと袋を運んだり,太鼓や鐘を鳴らすこと

だ。寺島珠雄が私に諭してくれたのは,きっとそんなことなのである

                         -竹中労(風の街にて―寺島珠雄のこと)


以前、釜ケ崎にあった警察が主導する「町を明るくする会」の標語のことを書いた。

こんな具合だ。

  腹を立てるな 不平をいうな ものを苦にすな 笑顔でくらせ・・・

寺島珠雄ならこう書くだろうか?

  腹を立てろ 不平を言え ものを苦にしろ 笑顔でくらせ・・・


寺島珠雄「伝道」より>

  ワガ膝ニ頬ズリステ泣け オノレガ死ヌ時オノレノ涙ハ間ニ合ワヌ


なんにせよ、一切は生きてる上の話ではある。


そんだけ。