親切・丁寧・便利

   
携帯をオトンが洗ってくれたので、新しくしてきた。

まぁ、わかったようでわからん毎日ではある。

映画で、お婆さんが針に糸を通す場面があって、それをアップで写すもんだから、見てる方もヘタなアク

ションより、手に汗を握ったりするし、糸が通った時に思わず客席から拍手が起こったりもした。

たぶん小津の映画だったように思うけど、忘れた。

そんな具合に、高っかいマンションに見下ろされ、臭っさい川の近くの低所得高齢者一家にも手に汗握る

ような事だってあったりするのだ。


で、携帯の話。機能が付きすぎるのはいいけど、便利すぎて不便なのだ。

本体、契約内容とぎょうさんの機能がついてる。まるで、怪しい金融商品のようだ。

機能といえば「昨日、ファンクションとクシャミをした」というふうに暗記したけど、古いのか?

あっ、話がズレかけてる。携帯の話に戻る。

<研修中>の名札をつけた娘が「これとこれに加入して頂ければ・・・」と一所懸命勧めてくれる。

その潤んだ目ェで私を見るな。「これ、加入すると君は喜ぶのか?」と聞いたらニコッ!と笑いよった。

そんなんで、いらん機能を付け加えてしまった。私の意志は軽石で出来ている気がする。

月末に解除しよう。


いやまて、そんな話を書くつもりではなかった。

先だって、「サライ」が吉行淳之介の特集で、吉行の未発表原稿が掲載されてるというので買ったのだ。

雑誌を買うのも久しぶりだ。

何度か書いてるけど、80年代の雑誌の創廃刊ラッシュの時から、雑誌は様変わりした。販売でなく、広

告収入で雑誌を維持する方向に変わったのだ。

だから新雑誌の説明は、取次や書店より広告代理店の方が先だったりする。

サライ」の特集は面白かったけども、紙面ということでは異常に腹が立ったのだ。

親切、丁寧過ぎるのだ。紙面もどこまでが記事か広告かわからないところもあるし、これペイパブかい

な?と思うような作りもあった。

まぁ、それが今の雑誌の常識だろうから諦めるけど。

クリックしてもリンク先には飛べないけど、思わずそうしたくなるような紙面になっている。


説明上手は販売下手と昔から言うし、親切過ぎる店にロクな店があった試しがない。

「えっ!わからんって言われても困りますがな。ウチはこれでやってますねん」

「あんさん、もうちょっとこの辺りをベンキョーしてから来てもらえますか」

「そんな、いちいち注釈つけてられまっかいな。自分で調べなはれ」

そんなふうに、エラそうで、高飛車で、けんか腰な雑誌はもうないのか。


どうなんやろか?