め し

      初之輔はくいだおれの店に入った。

      酒と食い物のマーケットのようで、

      両側のそれぞれの店から初之輔を呼んだ。

      初之輔は一番奥の馬蹄型のカウンターに行き、

      腰をかけた。
 
      レインコートをぬぎながら酒を注文した。

      赤前だれの女が、

      目の前に汽車のように並んだ銅壺へ

      錫のチロリを入れて、かんをしてくれている。


『めし』は、林芙美子の作品。

林芙美子『めし』を朝日に連載中に亡くなった。

今は普通だけど、映画とタイアップして<毎日百名様劇場ご招待>キャンペーンをやった店がある。

昭和26年(1951)のこと。


その店は、上の引用の通り、あの「くいだおれ」だ。


くいだおれ」は、林芙美子の大阪での常連店だったらしい。

その辺りの話は、『ばかたれ、しっかりせ くいだおれ会長 山田六郎伝』に詳しい。





辻潤は、昭和4年に貧乏で全く無名であった詩人の処女詩集に石川三四郎とともに序文を書いている。

詩集の題名は『蒼馬を見たり』。

著者は林芙美子


辻潤林芙美子については、少し書いたみたことある。




           うで卵飛んで来い。

           あんこの鯛焼き飛んで来い。

           苺のジャムパン飛んで来い。

           蓬莱軒のシナそば飛んで来い。

           ああ、そばやのゆで汁でもただ飲みして来ようか・・・

『放浪記』から。


「死にたい死にたい」と言いながら「根が野生の私」の『放浪記』は面白い。


絶望しながら、欲望全開です。


・・・書いてて、わけわからん。


ところで、チロリからコップ、出来れば某三ツ矢サイダーのロゴの入ったコップに注いだ酒が飲みたい。


この頃は、オチが酒である事が多い気がする。


ほな。