3.0リットル

 
爺さんと鬼ごっこ、ビョーキ男とプロレスごっこ

そんな事が暮れから続いてる。

時々、ビョーキ男が爺さん相手にプレレスごっこやり出すので目が離せん。

爺さんは8時に寝て0時に起きるから、遊びは深夜からになる。

爺さんは、90過ぎて夜遊びし出した。

ひょっとして、グレたのかと心配したりもする。


そんな具合な正月だったけど、だんだんと彼らの行動が読めてきたので、少し落ち着いてきた。


関係ないけど、訳ありで安モンのアパートを借りている。

四畳半で炊事とトイレは共同というやつ。もちろん風呂はない。

家に帰るまで住んでたけど、今は倉庫替わりになっている。

そういえば、一時アホ友達のF元君も住んでた。

なかなか面白い住民がおるけど、その話もその内に書いてみよう思う。


もう一つ、関係ない話やけど。

私やF元君、それから何人かのアホ友達は、明日から扉を開けたら三畳もない部屋を上下に区切った所に

寝泊まりすることになっても何とも思わん奴ばかりだ。

というか、それ自体を苦とは思わんのだ。


辻潤が捨てきれなかったものは「インテリゲンチャ」というものであり、なりたくてなれなかったのが

「乞食」という気がする。

人は、辻潤が最期には乞食になったと言うけど、なれなかったから苦悩したのだ思う。


えらい話がずれている。


ずれたついでに。


私の生活上の師匠のような人がいたけど、だいぶ前に死んだ。

最期に見舞に言った時、「低人よ!まだ飲んでへんから、退院したら正月の酒飲もで!」と、無菌室の電

話越しに言ってたのが最期やった。

私はアホやから、無菌室に入っている人に「にぎり寿司」なんぞを見舞に持っていったりした。

渡すに渡せんで、持って帰る気にもならんので、病院の掃除のオバチャンにあげたのを覚えている。


で、安モンのアパートに今日行って来たのだけど、大家が「これ、あんた喜ぶやろ思うてなぁ」と、酒を

くれた。


・・・紙パックの日本酒。3.0リットル。

重たい。


あの時に、師匠が最期に言った「正月の酒」が、ずっと耳に残っている。

だから、「正月の酒」は、私には特別なのだ。


3.0リットル。

まぁ、いっぺんに全部は飲めんやろけど、今日「正月の酒」やっつけます。


どちらさんも、今年、何か一個だけでも、エエ事がありますように。



そんだけ。