ヘ タ レ

 
広辞苑の新しいのに「いらち」と「さぶいぼ」が収録されたらしい。

だからといって「どやどや、ごっついやろ!」と自慢するもんでもないけど。

とりあえず、浪花の源三の子分である「いらちの安」は胸を張ってるやろ思う。


ところでヘタレはやっぱり大阪弁なんやろか?


 
 「おい、この仕事今日中にやっつけなあかんねんど。応援くるんかい」

 「へえ、低人はん寄越すって親方がゆうてはりました」

 「はぁ~、低人かい。あんなヘタレ来てもどもならんやろがい。うわぁ、どないなるか考えたら

  サブイボ出てくるがな。親方もイラチやなぁ。もうちょっと考えてもうたらええねんけど」


と、こんな具合に使ったりする。

そんでもって、「お前ヘタレやなぁ」と言われてきたのもほんまのこと。


最近知ったのだけど、正津勉が『小説尾形亀之助・窮死詩人伝』を出したらしい。

正津勉は、ずいぶん昔に『ならば黎明』を読んだきりだ。

だから、正津勉尾形亀之助の接点がわからん。けど、時間があれば、読んでみようか思う。

 
   つまづく石でもあれば私はそこでころびたい
 

そう書いた、尾形亀之助を私は、筋金入りのヘタレと思っている。


尾形亀之助を知ったのは、辻まことによってだ。

まことは、戦地でおかしくなりそうになった時、尾形の詩に救われた。

まことの父親の辻潤も、おなじく筋金入りのヘタレと思っている。

そんな筋金入りのヘタレに救われ、慰められてきた私は普通のヘタレでしかない。

筋金入りのヘタレになりたいとは思わんけど、そんな感じでやっていけたらええかとは思う。


わけわからんなぁ。




そんだけ。