ヘ タ レ
だからといって「どやどや、ごっついやろ!」と自慢するもんでもないけど。
とりあえず、浪花の源三の子分である「いらちの安」は胸を張ってるやろ思う。
ところでヘタレはやっぱり大阪弁なんやろか?
「おい、この仕事今日中にやっつけなあかんねんど。応援くるんかい」
「へえ、低人はん寄越すって親方がゆうてはりました」
「はぁ~、低人かい。あんなヘタレ来てもどもならんやろがい。うわぁ、どないなるか考えたら
サブイボ出てくるがな。親方もイラチやなぁ。もうちょっと考えてもうたらええねんけど」
と、こんな具合に使ったりする。
そんでもって、「お前ヘタレやなぁ」と言われてきたのもほんまのこと。
正津勉は、ずいぶん昔に『ならば黎明』を読んだきりだ。
つまづく石でもあれば私はそこでころびたい
そう書いた、尾形亀之助を私は、筋金入りのヘタレと思っている。
まことは、戦地でおかしくなりそうになった時、尾形の詩に救われた。
まことの父親の辻潤も、おなじく筋金入りのヘタレと思っている。
そんな筋金入りのヘタレに救われ、慰められてきた私は普通のヘタレでしかない。
筋金入りのヘタレになりたいとは思わんけど、そんな感じでやっていけたらええかとは思う。
わけわからんなぁ。
そんだけ。