較べ合い

 
病院に行ってきた。

もう「血湧き肉躍る」歳ではない。

「血圧上がり肉だぶつく」歳ではある。

知らん間に、こんな具合な「おやぢギャグ」かます歳になってもうた。

・・・ん?これは前からか。


待ち時間の間に、そこいらのオッサン、オバハン、ジイサン、バアサンの話が、無理からに聞こえる。

世間話から始まって、最期は自分のビョーキ自慢。

「あんたぁ、まだ大丈夫やわぁ。私なんて・・・」

「あーたは、そういうけど私らこれ以外にこんなんもってまんねん」


「牢名主」というのがある。

ようするに、その牢内でいちばん罪の重い奴がいちばんエライというやつ。

むかし、カンゾーで半年くらい入院した時もそんなんがあった。

大学病院入院待機男がいちばんエライという病室の権力構造が出来上がってたりしたのだ。


わけわからん。


ずいぶん前にアホ友達と、酒の肴に小さい頃のビンボーの競い合いをした事があった。

「ワシは<磯じまん>を醤油でのばしてた」とか「食パンの耳が主食やった」とか・・・。

そのうちに、会話がピタッと途切れてため息だけが聞こえてた。

自分がいちばん不幸やったとか、幸福やとか較べ合いなんかせんほうが、体にはいいようや。


待ち時間の間に、辻潤の『浮浪漫語』を読んでた。

また、こんなん書いてたのか!というのに出くわした。

読み返すことの面白さはこんな具合やと思う。


そんだけ。