せんならん

 
 貧乏神というものの生態をよく知れ・・・貧乏神というものはのう、人が貧乏してんのをニタニタ

 笑うてるのではない。

 人が一生懸命まじめにこつこつと働く、その働いた養分を吸い取って、生きてるのが貧乏神という

 もんじゃ。一生懸命まじめにこつこつ働くということが前提条件としてある。

 お前みたいに初めから働きもせんなんだら、吸い取る養分もなにもありゃせんじゃないか。

 ここしばらく、わしゃ、ろくなもん食うてない。腹減ってしかたがない。まじめに働けい

         -桂枝雀「貧乏神」(ちくま文庫桂枝雀爆笑コレクション4/萬事機嫌よく』より)

しゅーまん2号さんに教えられて、枝雀さんの落語をテキストにしたのを読んだ。

生や映像、音声でなくて文字にしたのもオモロイです。

「前提条件」やとか「生態」なんて言葉は、枝雀さんの「貧乏神」やから出てくる言葉や思う。

解題によると、小佐田定雄氏1980年の新作となってる。

若い人なら20年以上も前というと、ずいぶん古いと思うかも知らんけど、オッサンくらいの歳になると昨

日のことくらいな感覚。

とりあえず、私のとこの貧乏神も餓死したか亡命したやろ。


昨日は私、一昨日はビョーキ男に付き添って病院。

待ち時間の間に、枝雀さんを読んでたわけだ。

私が行ってる病院は、家から近い。

いっつも自慢そうに「歩いて五分」と安モンの不動産チラシのような事を書いているけど、たしかに病

院、図書館それから葬儀会館なんかも楽に歩いていける距離にある。

そんなことで、私が行った病院は、こないだオカンが逝った病院。

病院に行く時に見える葬儀会館も、半年続きでオカン、オトンの葬儀をやったところ。


やっぱり凹むなぁ。


取憑いた家で逆働かされる目にあった貧乏神。

家の洗濯をしながら・・・ハ~ア~…わしゃ何でこんなことせんならんねやろ・・・ハ~ア…ええ夕焼け

やなーあ。明日も洗濯物がよう乾くなぁ・・・と呟く。

こういうのがオッサンは好きなんやと思う。


ところで、せんならん=せんとならないのか=しないといけないのかであります。

大阪ではせんならんを999という事もあります。


ほな。