てんぽーざん

 
三山という言い方がある。


大阪府は交野三山というらしい。交野はカタノ言います。

大阪市の三山は、帝塚山茶臼山天保山。(テヅカヤマ・チャウスヤマ・テンポウザン)


これは大阪の人間がギャグ的に言ってるのであって正確ではない。

帝塚山茶臼山は山ではなくて古墳。

しかし、天保山は間違いなく山だ。

ルビ振るとテンポウザンとなるけど、テンポーザンと言うた方がしっくりくる。


標高4.53メートル


大阪市港区にある日本一低い山。


天保山山岳会があり、登頂者には登山証明書を発行してくれ、その登山証明書発行数がもうすぐ5万枚に

なるらしい。そんなニュースがあっった。



大阪は水路によって天下の台所を担ってきたけど、淀川から押し流された土砂が安治川、木津川なんかに

堆積して船の妨げになってきた。そんなんでオール大阪で金と人を出し合って、川ざらえをやったのが、

天保二年。

その時の土砂で出来たのが、天保山ということらしい。


そうそう、登山証明書にはこんな事が書いてある。
 あなたは、本日大いなるロマンとイチビリ精神を似て、日本サイテーの山[天保山(四・五米)]に
 
 無事登頂されました。その快挙を称え、記念に登山認定書をおわたしします。
                                    天保山山岳会

私、低人が山頂を目指すべき山のような気がする。

来週辺りに近くまで行くので、ついでに世界最峰に挑戦したろ。



天保山は、織田作之助の『放浪』や林芙美子の『放浪記』にも出てくる。

林芙美子の『放浪記』は新潮文庫で手元にある。

冒頭の第一部「放浪記以前」の書き出しについては前にも書いたことがある。

こんな書き出し。

   私は北九州の或る小学校で、こんな歌を習った事があった。

     更けゆく秋の夜 旅の空の

     侘びしき思いに 一人なやむ
 
     恋しや古里 なつかし父母

   私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。

                            -林芙美子『放浪記』


林芙美子は『旅愁』の普通なら引用するだろう歌詞を引用しなかった。


  夢路にたどるは 故郷(さと)の家路


林芙美子朝日新聞『めし』連載中に急逝する。


昭和26年の6月28日。




そんだけ。