したまち

 
トウキョーデズニーランドが何で千葉やねん!と言うのはようきく。

・・・すべてのオッサンはデズニーであり、テッシュであり、ハンケチというのである。

大阪のUSJはUniversal Studios Japanや。

ほんでも、なんで大阪がジャパン名乗るねん!という声はあんましきかん。

ゆうても、正直に大阪にしたらエライことになる。

Universal Studios Oosakaになったら、USOになってまう。

まあ、ウソみたいなもんかも知らんけど。

で、でずに~らんどのことを小林信彦が何か書いてたのを思い出して図書館から借りてきた。

こんな具合。

 日本人はコダワラナイ人種で、だからこそ、やってこれたのだろう。

 アメリカ人と大戦争をやって、向こうにはまだコダワッテル人がいるのに日本人はコダワラナイ。

 「もう、四十何年も昔のことじゃないですか。ぱーっと忘れましょう」といった具合で、一九四五

 年三月の下町大空襲で何十万人か殺されたことを忘れ、アメリカ本土以外では最初のディズニーラ

 ンドを作ってしまった。

 この計画は一九六〇年からあったというのだが、ま、そうだろう。

 とにかく、浦安に作ったというのが凄い・・・

 ・・・東京ディズニーランドはテーマ・パークの傑作であるが、この発想は、五十年以上前に浅草

 の松屋七階に<ミッキー横丁>を強引に作ってしまった日本人の悲しさとどこか通じるものがある

 のではないか。<そこにいる間は憂さを忘れられる>という点で。


小林信彦は「下町」という言葉を安直に使うことを極端に嫌う。

「この二十年ほどで、古い東京がほぼ完全になくなってしまったから、それらしいものが少しでも残って

いると、マスコミはすぐに<下町>と呼ぶ。<古い東京=下町>と思いこんでいるらしい。」と書いたり

している。

小林信彦が特にこだわるのは、東京オリンピックでの東京の変貌。

そりゃ、外国の人にみっともないからの理由で壊されたら、そないな気持ちも出てきて当然。

・・・小林信彦の『夢の砦』は渡辺プロ中心に回ってた時代を知りたい人にはオモロイ本です。


ただ、小林信彦は窮屈だ。

読んだのは『私説東京放浪記』。

でなければならないとは言わないけど、こうであったが過ぎる気もする。


岩本素白の『素白先生の散歩』を昨日読み終わった。

 昼でも銀座通りをぞろぞろと人が押して歩くようになったのは、地震以後のことである。

 一概に都会の人が賑やかなのを好むという観方には、些か疑問をもっている。ほんとうに都会に生

 まれ育って来た者は、賑やかな町に住みながら、その裡の静けさ寂しさ心易さを求めているのでは

 ないだろうか。

 …都会といったところで、特殊の盛り場を除いては、ただ家が建てこんでいるだけのことである。
 
 真の都会人ほど、都会の心細さを知っている者はない。彼等は帰るべき故郷は勿論、思い出す古里

 さえもっていないのである。

 現在住みつつあって、しかも日ごとに形を変えて行く、それも大方は懐かしいものよきものの損な

 われていく、三年にして小変し、十年にして一大変遷をする都会こそ、彼等の故郷なのである。

 …地方人の古蹟を愛する心は、その古蹟が依然として残存しているところから出発し、都会の人の

 名所を愛する心は、それが日々に壊滅して行くところから発している。

 この意味で都会人の愛郷心は、感傷と一つになっているとさえ言い得る。

                            -岩本素白「街の灯」
 

そんなことが書いてあった。


小林信彦に、下町に突入していった永井荷風の心はどんな具合に見えるのだろうか?



あっついですなぁ。

ほな。