混 ぜ る
カレーが月一のご馳走という家に生まれて育った。
そんなんが家庭のジジョーなんか、それとも世間もそうやったかは知らん。
皿にご飯が若草山みたいに盛ってあって、山頂辺りからカレーが注がれる。
肉の記憶はあんましない。
家族全員が腹減らしてたのか、ビンボーやったからかはわからんけど、カレーのお代りはなかった。
だから、山頂辺りにかかったカレーを思いっきし掻き混ぜて食った。
それでも白いままで抵抗しているご飯には、ソースに援軍に頼んで再び混ぜ混ぜして食った。
カレーはひたすら黄色かった。
この<若草山的ご飯に山頂注ぎカレー>な盛りつけ、家のカレーと大衆食堂のカレーはそうやった。
喫茶店はご飯とカレーが分け分けで、駅前のレストランではカレーだけアラジンの魔法のランプみたいな
のに入ってた。
いつの間にかカレーはご飯とルー分け分けが当たり前になって、それに疑問を感じたこともなかった。
一度だけ大きくなってから、小さい頃みたいにカレーをご飯を掻き混ぜて食ったことがある。
「おネエちゃん、あれおくれ、あのぉ、ごはんの上に黄色い汁がかけてあって・・・」
「カレーライスですね」
「そう、それや、ワイなあ、あれが大好きやねん」
出てきたカレーを朝吉はいきなり掻き混ぜて一気食い。で、腹ごしらえも出来たところで喧嘩に向かうと
いう場面。
この場面観て、そんな具合にカレーを食いたくなってやってみたことがある。
美味かった。
YOMIURI ONLINEにそんなのがあって、混ぜないが圧倒的で78%となってた。
そんなことで、梅田に出たついでに駅ビル地下のカレー屋に行ってカレーの全部混ぜ食いをやった。
店はカウンターだけで、一杯550円。
ビーフカレーを頼んで、ご飯とルー分け分けとなってんのをスプーンで思いっきり混ぜ混ぜした食った。
カウンターやから、他の客からよう見える。
ウワァ!何すんねんという感じの客もおった。
そやねん!そうして食うたら美味いんや!そやけど家でもそんなんして食うたら嫁ハンや子供に汚い食い
方せんといてゆうて怒られるし。あんさん勇気ありまんなぁのような顔のオッサンもいた。
水の代りに缶ビール飲んだ。
帰りにビョーキ男の頼みで、買わなきゃ得する「宝くじ」を買って帰った。
そんだけ。