混 ぜ る

 
カレーが月一のご馳走という家に生まれて育った。

そんなんが家庭のジジョーなんか、それとも世間もそうやったかは知らん。

皿にご飯が若草山みたいに盛ってあって、山頂辺りからカレーが注がれる。

肉の記憶はあんましない。

家族全員が腹減らしてたのか、ビンボーやったからかはわからんけど、カレーのお代りはなかった。

だから、山頂辺りにかかったカレーを思いっきし掻き混ぜて食った。

それでも白いままで抵抗しているご飯には、ソースに援軍に頼んで再び混ぜ混ぜして食った。

カレーはひたすら黄色かった。


この<若草山的ご飯に山頂注ぎカレー>な盛りつけ、家のカレーと大衆食堂のカレーはそうやった。

茶店はご飯とカレーが分け分けで、駅前のレストランではカレーだけアラジンの魔法のランプみたいな

のに入ってた。

いつの間にかカレーはご飯とルー分け分けが当たり前になって、それに疑問を感じたこともなかった。

一度だけ大きくなってから、小さい頃みたいにカレーをご飯を掻き混ぜて食ったことがある。

勝新太朗の『悪名』観てたら、勝新演じる八尾の朝吉がカレーを食う場面があった。

「おネエちゃん、あれおくれ、あのぉ、ごはんの上に黄色い汁がかけてあって・・・」

「カレーライスですね」

「そう、それや、ワイなあ、あれが大好きやねん」

出てきたカレーを朝吉はいきなり掻き混ぜて一気食い。で、腹ごしらえも出来たところで喧嘩に向かうと

いう場面。

この場面観て、そんな具合にカレーを食いたくなってやってみたことがある。

美味かった。


※カレーを食べる前に、ご飯とルーを全部混ぜるか?
       →http://www.yomiuri.co.jp/komachi/life/pop/20081119ok06.htm?from=os2

YOMIURI ONLINEにそんなのがあって、混ぜないが圧倒的で78%となってた。


そんなことで、梅田に出たついでに駅ビル地下のカレー屋に行ってカレーの全部混ぜ食いをやった。

店はカウンターだけで、一杯550円。

ビーフカレーを頼んで、ご飯とルー分け分けとなってんのをスプーンで思いっきり混ぜ混ぜした食った。

カウンターやから、他の客からよう見える。

ウワァ!何すんねんという感じの客もおった。

そやねん!そうして食うたら美味いんや!そやけど家でもそんなんして食うたら嫁ハンや子供に汚い食い

方せんといてゆうて怒られるし。あんさん勇気ありまんなぁのような顔のオッサンもいた。


水の代りに缶ビール飲んだ。


帰りにビョーキ男の頼みで、買わなきゃ得する「宝くじ」を買って帰った。



そんだけ。