『わ が 町』

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スーパーまでが近道になる路地。そんな路地の家二軒、続きではないけど更地になってる。

現在進行中の道路建設やマンション造成とはなんの関係もないのはわかる。

そんな場所には建ってない。

ここ数年、こういうのを見ることが多くなった。

住んでた人が亡くなって、引き継ぐ者もおらんので、ついでに家も死んでもうたような具合。

そのうち周辺の家も退いてもうて、また高っかいマンションが建つんやろなぁ。

この辺りはそないに歴史のある所でもないけど、当たり前に昔から人は住んでた。

人が死んで、家が死んで、町の記憶も死んでいって、もうちょっとしたら、きれいに切り揃えられた、過

去と繋がらない「区民」の町が出来上がるわけやね。

うん。


ところで、きのうは駅ビルとカッパ横丁の古本屋を覗いてきた。

相変わらず欲しい本と買える本が一致せんけど、一冊だけ買うた。

織田作之助の『わが町』を千円で。

織田作之助の本は、大阪の古本屋で一軒だけ揃ってるとこがあって、値段もそう高くはない。

けど、どれもが戦後の紙事情の悪い時のものなんで買う気にならん。

ジャズ喫茶でパーカーを聴くみたいな悲しい気持ちになる。

でも、これは状態も紙質も良かったので発作的に買った。

昭和31年(1956)、現代社発行で初版は4月25日やけど、これは9月30日の3刷目。

表紙が「ベンゲットの他あやん」役の辰巳柳太郎やから、この年に川島雄三で映画化されるのを見込んで

の出版やろ思う。

映画もよかったです。

ちょっと前の記事→『ベンゲットの他あやん』


ほな。