とむらい

 
爺さんは今年の三月に逝ったけど、二月に爺さんに縁の人が一足先に逝った。


先だってその葉書がきてたわけだけど、今日ようやく遺族と連絡が繋がった。


何かと訳ありなので…そうゆうても五分五分の義理欠き…お悔やみの一つもせんとアカンので電話した。


先方から、仏前も神前もないので、そんなんはええですと人前もはばからずの返答。


別にそれはそれでええから、そうでっかと言うて電話を切った。


アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』にこんなんがある。

   HOMICIDE [殺人行為]ービアス悪魔の辞典』より

 ある人間が他の人間によって殺されること。

 「罪深い」「酌量の余地ある」「正当と認められる」「称賛に値する」の四種類があるが、

 どれにしても殺される人間にとってはたいして役に立たない。

 この分類は法律屋が役に立てるためにある。

要するに殺される当人には何のカンケーもないと書いたある。


おんなじようなもんで、死んだ人をどう弔うかも、死んだ人間には何のカンケーもない。


割合からゆうと、死んだものの方が生きてるものより多いわけで、弔われているのは、たぶん生きてる方


やと思うたりもする。


ついでに言うと、人が人を裁くちゅうのもいつまでやってんのやろ?



そんだけ。