ゴ リ ガ ン

 
『大阪ことば事典』を買ったので、前から気になっていた言葉を調べたりしてた。

 ゴリガン(名)

 強引に物事をやって行く者。我を押し通す人。理不尽者。ごり押しの漢の意か。
こんな具合に書いてあった。


ゴリガンという言葉は、足立巻一の『関西人』という本で知った。

『関西人』は1967年の出版で、ダイエーの中内氏や南海ホークスの鶴岡監督など、その当時の関西の際だった人

物を紹介した一冊で、かって新大阪新聞の記者だった足立巻一らしい視点でオモシロい本だった。


その中で池田蘭子という人をゴリガンとして紹介してた。

たぶん、この取材がきっかけとなって、足立巻一は後に『立川文庫の英雄たち』を書いたと思う。

池田蘭子という人は立川文庫の当事者でもあるのだ。


この人は、後に『女紋』という半生記を出版するんやけど、この本を気に入った菊田一夫が舞台化する際

に、少女時代の蘭子役の女優にみすぼらしいメーキャップをさせた所、自分の少女時代の写真を菊田に見

せて、「私はこんなブサイクちがいます!」と言って舞台化を断ったという。

結局、菊田の方が折れて、舞台は無事に上演されたらしい。


関係ないけど、お鹿婆さんが主人公となる映画『がめつい奴』。

このがめついは古くからの大阪弁でなく、菊田一夫の造語。


ところで、立川文庫は、もう無くなってしまったけど、ミナミの駸々堂辺りが出版の街だった頃、この出

版社から、猿飛佐助、真田幸村塚原卜伝石川五右衛門…といったヒーローが生まれた。

大正時代、出版はまだ東京集中ではなかったのです。

大阪は何しろ近松西鶴の町やし。


ほんで、そんな立川文庫に猿飛佐助が登場したのが大正5年(1916)の今日ということらしい。

猿飛佐助が今の子にどないなんかはさっぱりワカラン。

私の小さい頃からすこし昔のヒーロー状態というか、子供のヒーローが時代劇から現代、未来に舞台を変

えた頃になるのかも知らん。

とにかく、今日は猿飛佐助の誕生日ということになる。

おめでとうさんです。


ほな。


●大阪日々新聞「なにわ人物伝」より、池田蘭子。