何者でもない

 
こないだの日曜日、姉ちゃんから電話があった。


「今日は母の日やけど、仏壇に何か供えときよ」と言うてきたので、適当に返事をしておいた。


適当に返事をしたのは、そのつもりはなかったから。


オカンが死んで、諸々のこの国で行なわれる儀式も済んだ時から、オカンを解放したろ思うた。


死んでからも、相変わらずド息子のオカンのままで縛り付けられてるのもたいがいシンドイ話やし。


オカンは、何者でもないという、何とも羨ましい状態に戻ったのやから、その方がええのだ。


これはオトンも同じ。


国家でも民族でも宗教でも、それにこだわる人は好きやない。


もともと何者でもなかったのは、誰にでもわかること。



   自然を抜け動物を抜け、人間を抜け、人を抜け、自分を抜けてみるまで、

   どんな権威の前にも立止らないようにしよう。

                                 -辻まこと



そんだけ。