チ ロ リ
大阪城から、南へ、上本町、阿倍野という方面にかけましては、なだらかな丘になっております。 大昔は、この辺りだけが、陸地で、今の船場、島之内、千日前、などの一帯から、西の方は海でご ざいまして・・・ -林芙美子『めし』より
かく描かれている。
内容の云々は別として、ある時代の大阪の観光ガイドとしてもオモロイ本のような気がする。
しかし『めし』は未完に終わった。
昭和26年(1951)の今日、6月28日に林芙美子は急逝。
これ観たような観てないような・・・。
画像は『ばかたれ、しっかりせ』(柿木央久)からのもの。
初之輔はくいだおれの店に入った。 酒と食い物のマーケットのようで、 両側のそれぞれの店から初之輔を呼んだ。 初之輔は一番奥の馬蹄型のカウンターに行き、 腰をかけた。 レインコートをぬぎながら酒を注文した。 赤前だれの女が、 目の前に汽車のように並んだ銅壺へ 錫のチロリを入れて、かんをしてくれている -林芙美子『めし』より
前にも書いたけど チ ロ リ って知らん人が多なったなぁ。
林芙美子というと、絶望しながら欲望全開のようなイメージがある。
ほな。