タローと怜

 
坪内祐三の『大阪おもい』の中に、保育社のカラーブックスの話が出てくる。

保育社のカラーブックスの古いのは、古本屋や青空古本市で見かけることも多く、百円くらいやったら買

ったりもする。

むかしは、見向きもせんかったけど、こうして時代が流れると、なかなかよう出来たシリーズやと思う。


で、坪内祐三の『大阪おもい』に出てくるカラーブックスの話。

1983年に出た『コーヒーの店―大阪』という一冊。

著者がキダ・タローです。

この本の冒頭に「れい」という喫茶店が紹介されてるらしい。

「午後三時をすぎると、必ずレジに座る怜さん。こんなコムズカシー顔したオッサンが入り口におった

ら、かえって客が寄りつかんのやないか、と思うんですがよう繁盛しとるから不思議ですナー」・・・な

んて事が書いてあるらしい。(『大阪おもい』からの孫引き)


著者がキダ・タローで、いきなり大久保怜登場!

読んでなくても、何や笑うてしまう。

ところが、こんな笑いのツボが坪内祐三にはピンとこない。

だからどないしてん!という程のことでもないけど、それはしゃぁない話のような気がする。

キダ・タローが頭に浮かぶと♪と~れ、と~れ、ピチピチ、カニ料理♪が、大久保怜なら♪た~んた~

ん、たよし、なかよし、たよし~♪を無意識に口ずさむことが出来きへんかったら、おもろくも何ともな

いような気がする。

例えば、♪チゴイネルワイゼン♪が流れたら、桑原和夫の顔が浮かんで「神様ぁ~」と言いそうになった

り、例えば、♪ショスタコビッチの「革命」♪が流れたら、「部長刑事」を思い出したりで、そこで育っ

た者にしかわからん、おもろさもやろなぁ。



ほな。