すき鍋定食
こないだのこと。
オカンの弟の行方が偶然のようにわかった。
早うに死んどったけど、生き死にがわかっただけでもよかったとしよう。
オカンもずいぶんと気にしてたので、報告がてら出かけてきた。
その日も暑かった。
帰りに、久し振りに外に出たんやから蕎麦でもやっつけようと天一の更科。
ザルと思うとったけど、入り口に陣取ったオッサンでぜんぶが狂うてもうた。
ネクタイ締めて、髪もビチッと決めたオッサンが入り口の出来で食ってたもの。
すき鍋定食。
しかも固形燃料のコンロの上にスキ鍋が乗ってる。
それを汗もかかず、涼しげな顔で、美味そうに。
だいたいに、あれ食おうと思って入っても、他の人が食うてるもんが目にはいるとアカンなぁ。
特に座るまでにカレー饂飩、カレー蕎麦を誰かが食うてると簡単に方針が変わる。
そんなことで、こっちもスキ鍋定食。
店内の冷房は、かかってるけど、まだガンガンではない。
すき鍋定食との試合の半ばで、上45度に顔を上げて食わんと、汗が鍋に落ちそうな状態になった。
「すんません、冷たい水下さい」と頼んだ時、オッサンをみたら熱いお茶飲んでけつかる。
「食後は熱いお茶がいちばんや」と店の人に話しておった。
あのオッサン、飛騨山中辺りで熱いもん食う修行したに違いないと思うて店を出た。
体はもう大丈夫みたいやけど、一体何やったんやろ?
ほな。