す も か
オトンが九十に成り立ての頃のこと言われた。
おい、お前も煙草やめ!わしゃ七十でスパッとやめたぞ!
わかった!ほな、七十になったらやめるわ!
今もそやけど、七十まで、まだまだ吸える思うたから、そう答えといた。
オトンは総入れ歯になってもスモカで歯磨しとった。
逝ってからもスモカが残ってたから、遺産がわりや思うて使うてる。
そんなスモカの缶も残り少のうなって、何や知らんけど、これで義理果
たせたか思うたら・・・洗面台からスモカが十缶出てきた。
スモカの大軍や!
オトンはいつまで生きてるつもりやったんやろ?
けど、たぶん、おそらく、きっと。
ニンゲンは生きてる間は自分が死ぬを前提に生きてへんから、そんなもんか思うた。
とりあえず、スモカ十缶なくなっても、七十にはならんアホ息子ではある。
ほな。