大工のせがれ

大工のせがれが家に来た。

大工のせがれといっても、あの人ではない。

リアルに大工のせがれ。

不景気の子沢山で、今はタクシーの運転手やってるって聞いてたけど・・・。


「まだ、JAZZのレコードとCD残ってません?」

「知っての通り、貧乏こじらせて、み~んな売ってもうたけど・・・何でや?」

「近くの空き家借りてジャズとレゲエの店やってますねん」

「ほおぉ、そうか」

「ほんでも、ジャズは仕入れが高いんで大変なんです」

「ほうか、すまんかったな。まあ折角やし一杯やろか?」

「いえ、けっこうです(アンタと飲んだらエライ目にあう)。また連絡します」


こいつ。トランペットが上手い奴やったけど、近所に変な先輩がおったもんで、ジャズにかぶれてしまっ

て、学校も横から出て就職もせんと親を泣かしとったなあ。

こいつの親が今でも言いよる。

「ややこしいもん、教えやがって」・・・私を見ながら。


ほんでも、こいつにレゲエなあ?

健康優良児みたいに丸々しとって、半ズボンで合唱団入れるような顔してんねんけどなあ。





ところで、大工のせがれのあの人。

あの人から、私はジョージ・秋山の『デロリンマン』を連想してしまいます。


「正義は愛によって生まれる」とデロリンマン

その前に

「力のある者が正義」と立ちはだかるオロカメン。



関係ないけど、

むかし『銭ゲバ』に似てるって言われてたことがある。



あんまり、うれしくはなかった。