門づけ

菅笠のような笠を被って、よれよれの着物に尺八姿。

画像の人物が辻潤です。


辻潤の尺八は、永井荷風も弟子であった、荒木古童という人に弟子入りして覚えたものです。

そのままプロになるつもりだったのですが、家の没落で断念してます。腕前はかなりのようです。

この格好で有名人の門に立ったそうです。


尺八をならすのは辻潤と判っていたから、たいていの人たちは留守のふりをするか、出るに出られず耳を

塞いでいたようです。

出てきて「うるさいよ」といったのは谷崎潤一郎

多額の金を包んだのが島崎藤村だそうです。

佐藤春夫は女中に金を渡すように伝え出ることはなかったようです。

これが本当なら、三人ともりっぱと思います。


港は暮れてルンペンの のぼせ上ったたくらみは 藁で縛った乾がれい 犬に喰わせて酒を呑む


吉行淳之介に売りつけた色紙の詩に、この頃の辻のこころが詠われている様に思います。


最後にモダン(古いか?)な辻の姿です。パリ滞在中のものです。

林倭衛によるものです。
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