藤山寛美
負債を松竹が肩代わりして、松竹新喜劇に戻ってきた藤山寛美。
その絶頂期の芝居はデタラメに面白かった。
「お涙頂戴ありの人情喜劇」仕立ての芝居でも、寛美ひとりが突き抜けてるから面白かったのだ。
噂を聞いて東京の喜劇人もお忍びで舞台を観に来たらしく、渥美清もそんな一人だったそうだ。
今はない中座の収容人員が何人かは知らないが、寛美は大勢の客の中に渥美を見つけると、芝居の中で
「寅さん」風の台詞をアドリブで入れたりして、渥美にサインを送っていたらしい。
渥美清もそうだが、寛美もどっかで冷静に観察する目を持った人間。
はっきり言って、日常生活で付き合う分には嫌な奴だ。
Wikipediaの「藤山寛美」の項で・・・またダウンタウンの松本人志は著書の中で「この人は素で面白い
人なのではなく、面白い人を演じる事の天才なのだ」と評した・・・とあるが、その通りと思う。
こないだ、脱サラで蕎麦屋を開業した人の話をテレビでやってた。サラリーマン時代に蕎麦と出合って、
それが昂じてという奴だ。
話を作るにいちばん簡単な手法だろうけど、蕎麦への思い入れをさかんに強調する。
しかし食う方は、その一杯で店が救われようが、潰れようが関係はない。
蕎麦は蕎麦だ。
美味いか不味いか、安いか高いか、何でもよかったのか蕎麦が食いたかったかだけだ。
蕎麦と出合ってから店主と出会うのだ。
店主が先に、これ私が苦節何年、飛騨高山の山中で修行してなんて話されても困るのだ。
藤山寛美に関係した人が書いた「思い出本」のようなのを読んだ。
似たような構成だった。
「芸」の分析はほとんどない。「人となり」の話ばかりだ。
寛美死亡のニュースを聞いて、真っ先に電話をかけたのが借金取りだったことが、寛美の「芸」が何でオ
モロイのかを理解する手がかりになるわけもない。
つまらん。
そうそう、現阪神監督の岡田彰布と藤山寛美に血縁関係はないです。
写真を重ね合わせても違和感なさそうやけど・・・。
そんだけ。