何か読んだ

力餅食堂

これ、保育社のカラーブックスシリーズの一冊で、『大阪の味』。 ちょっと前に用事で四天王寺辺りに行った時、「青空古本市」開催中で、百円で買った。ちなみに定価は 250円やった。 奥付を見ると、1968年発行とある。 庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』が…

上原專祿

二三日前から、気になっていた人をようやく思い出した。 上原專祿。 ずいぶんと昔に読んだ覚えがある、すっかり忘れてるけど。 昔から、エエ加減な読み方をしてるから、なんのキッカケで読んだのかも忘れた。 <死者と共に生きる> そんな言葉だけは、ずっと…

中国から来ました

ある日のことである。 駅の近くで私は中年の男性に頭のテッペンから足の先までじろじろと食い入るような目で見られ 品定めされた。 「自衛隊に入りまへんか」 「すみません。私は中国から来ました」 「中国地方でっか?」 私が驚いたのはいうまでもない。と…

『東京語のゆくえ』の行方

『東京語のゆくえ』。國學院大學日本文化研究所編(東京堂出版・1998年) 副題が「江戸から東京語、東京語からスタンダード日本語へ」。 何となく、タイトルで借りてきた。 この本の中では標準語の普及に力となったものを二つあげてます。 一つはテレビ。 「…

シ ソ ー

疲れた時は、酒呑むか、美味しいもん食うか、風呂入って寝るのがいちばん。 そんなんで、織田作読んでたりする。 織田作は、大阪の作家やから、歩いて五分の書庫代わりの図書館にもぎょうさんあります。 思想という言葉は便利な言葉であるから、すこぶる流行…

『竹取物語』

沖浦和光『竹の民族誌』(岩波新書)を合間々に読んでたりします。 この第五章「竹取物語の源流考」に、川端康成のことが書いてある。 何でも、川端康成は、『竹取物語』を「着想も結構もすべて軽い滑稽で終始する」世態小説とした津田左 右吉や、結局は「お…

ほうげん

勘やけど「方言」って「地方の言葉」ということやろか? 地方があるということは、当然のように中央があるわけや。 共通語はそんなふうにして出来上がってきたんやろなぁ。 ところで、井上ひさしに『東京セブンローズ』があります。 戦争で負けたとき、日本…

アダチ竜光

桂米朝の『上方芸人誌』を読んでいる。 1976年、朝日新聞社発行。 奥付を見たら、米朝師匠の住所は武庫之荘となっている。 たぶん、今もかわらんと思う。 武庫之荘は尼崎市になる。 武庫之荘に住んでる人は、どこに住んでんの?の質問に「武庫之荘」と答え、…

中里介山

『大菩薩峠』は、二度ほど読んだことがある。 二度とも、仕事がない時に読んだ。 そう考えると、失業も悪いことではないかも知れない。 読む直接の動機は、辻潤だ。 辻潤、まこと親子がパリに行く船上で、パリの下宿先で夢中になって読んだとあったのだ。 こ…

オッパイババア

読売新聞の読書欄の「空想書店」というコーナー。 諸星大二郎が、店主の時のことを昨日書いた。 その記事がネットで掲載されてたのだけど、佐野洋子が店主の時の記事もあった。 →http://www.yomiuri.co.jp/book/column/pickup/20051206bk02.htm 佐野洋子は好…

丸めて飛ばす

読売新聞の読書欄の「空想書店」というコーナー。 去年の12月の店主が、諸星大二郎だった。 諸星大二郎は『私家版魚類図譜』が最新作らしいが、この前出た『スノウホワイト』も読んでない。 『孔子暗黒伝』一冊で好きになったけど、あんまし熱心な読者ではな…

『悪名』

「おい、兄貴。こちはな、今まで親の肩も揉んだことのない親不孝者じゃい。何所の馬の骨かわ からんような古参兵たらいう奴の言いなりになっていられるかれ」 「そんな量見では営倉行きや。われの強情押し通せるか」 「押し通したるわい」 今東光の『悪名』…

エヂソンバンド

串間努という人の『少年少女通販広告博覧会』(河出書房新社)を眺めてた。 昔の少年・少女雑誌に掲載されていた、通販広告について書かれたもの。 「伸長器」(背が伸びるらしい)、「ハーモニカ」、「通信教育の空手」(吉本のギャグでよく使われ たりする…

親不孝「声」

小林信彦の『日本の喜劇人』を読んだので、流れでついでに『喜劇人に花束を』も読んだ。 どちらも二度目、再読ってやつだ。 『喜劇人に花束を』では、植木等、藤山寛美、伊藤四郎の三人の喜劇人について書いている。 ところで、小林信彦が喜劇人について書い…

秋田實の『転向』

秋田は、中学時代から、早熟な「文学青年」藤沢らのなかではアイデンティティー(自分らしいもの)を 見つけることはできなかったし、大学時代の左翼活動でもそれを見つけぬままですごしてしまったのでは ないか。 「辻馬車」の小説では「純文学」を目ざして…

水木通り

加太こうじの『紙芝居昭和史』が岩波現代文庫で出てたので借りてきて読んでた。 『紙芝居昭和史』を再読するつもりはなかった。 解説が水木しげるだったので、そっちの方を読んでみたいと思ったのだ。水木しげるの文章も好きだ。 関係ないけど、富岡多恵子の…

「消えて行く人たち」

iyhs0114さんが(ブログ「遠い蒼空」)、深沢七郎の「思い出多き女おッ母さん」を紹介してはった。 それで思い出したのだけど、これが収録されている、深沢七郎の『流浪の手記』はいい本だ。 たしか、詩人の白石かず子も好きな一冊にあげていた覚えがある。 …

森 繁 病

しばらく前から、小林信彦が「森繁久弥」について書いたものが気になってしようがなかったので、読み 返して見た。 以下は、小林信彦『日本の喜劇人』(1994年、新潮社文庫)のからの要約です。 * * * * * * * * * * * * <森繁病>と私が読んでいるこの病状…

『河内風土記』

「御住(オジュ)ッさん。帰ってはりましたのか」 天台院の檀家ではないが、檀家の親類に当たる豚毛ブローカーのパア太が玄関から声をかけた。 住職は本尊脇に掛けた下手糞な観音像の絵をながめていた。 「う。居るで。今、逮夜参りからの戻りやがな」 「お暇…

老 稚 園

長井勝一と青林堂にはビンボーにまつわる話が多い。何しろ、すでにメジャーとなった赤瀬川原平や林静 一がタダで原稿を出していたのだ。その頃の『ガロ』編集長は南伸坊。 いろんな人が、長井勝一のエピソードを書いているが、どうもこの人はビンボーを楽し…

秋田實のこと

秋田實は東大在学中を除けば、そのほとんどを大阪で暮らした。 1905年(明治38)に大阪は玉造で生まれ、1977年に72歳で亡くなっている。 秋田實は大阪の財界でなくて漫才界の中心にいた人であり、漫才の理論的指導者且つ組織者だった人だ。 東京帝国大学支邦…

ごりがん

病院の付き添いは、けっこう本が読めるから悪くはない。昨日から4打席連続で付き添いが続くのだ。 今日は、『関西人』(足立巻一)を読んでた。 これは、NONAJUNさんの記事『スーパー・マーケットの天皇―大江健三郎と中内ダイエーの敗戦後』で教 えてもらっ…

誑 し

昨日に続いて、藤山寛美の事です。 藤山寛美が気になりだして、合間合間に寛美について書いた本を読んでみようと思ったのは去年の秋。 芝居のほうはアホ友達が、DVD持ってたりするから助かる。 で、去年の秋に何があったかと言うと、テレビで寛美の出てる…

藤山寛美

負債を松竹が肩代わりして、松竹新喜劇に戻ってきた藤山寛美。 その絶頂期の芝居はデタラメに面白かった。 「お涙頂戴ありの人情喜劇」仕立ての芝居でも、寛美ひとりが突き抜けてるから面白かったのだ。 噂を聞いて東京の喜劇人もお忍びで舞台を観に来たらし…

軍艦が・・・

1970年代の前半と記憶しているけど、『現代詩手帳』で短歌、俳句、短詩の特集みたいなのがあった。 うわぁ!となって、ずっと頭に残っているのがこれ。 軍艦が軍艦を撃つ春の海 なんちゅう長閑な。これ書いた人、海岸べりに毛氈でも敷いて、弁当食いながら海…

こんなもんじゃ

戦争が終わったときに 馬よりも劣っておると 思い知りたり (山崎方代) ここに掲げた歌にしても、いかにももっともだが、このように呟いてみせた人はいなかったと思う。散文 的でこれが歌というのなら、とぼくらも気楽にその気になっても、そうは問屋をおろ…

書名で買った本のこと

装丁は本の中で重要な要素だけど、全部の本が書店で平積になっているわけもない。書店でも、図書館で も基本は棚差しだ。 そうなると背表紙と書名の勝負になる。 むかし、岩波文庫の福田英子の『妾の半生涯』を「メカケの半生涯」と勘違いして、これは絶対に…

刑務所のリタ・ヘイワース

『刑務所のリタ・ヘイワース』はスティーヴン・キング原作です。 『恐怖の四季』の中の一篇で、春が「刑務所のリタ・ヘイワース」。 秋冬が「スタンド・バイ・ミー」で、夏が「ゴールデンボーイ」の構成です。 映画(「ショーシャンクの空」)は観てないです…

富山唯継役は誰がいいのだろうか?

阪神ファンだから、今シーズンのチーム編成を何となく考えたりする。 むかしは、飲み屋でアホアホ連中と喧嘩腰でやったりもした。 そんな感じで、本読んでて「あっ、これはこの人が演じたらええかも」と思うたりすることがある。 【遠い蒼空(iyhs0114)】さ…

引用だらけで<織田作之助と「食」>で気付いたこと

「青空文庫」で織田作之助を読んだりしているけど、「食」のイメージに変化がある。 まずは、『大阪発見』→http://www.aozora.gr.jp/cards/000040/files/4106_7695.html これは、『夫婦善哉』と同時期のエッセイとあったから1940年(昭和14年)の作品。 戎橋…