何か読んだ

富 山 唯 継

きょう、1月17日は『金色夜叉』の中で、主人公の寛一が熱海の海岸で、貫一を裏切った恋人のお宮に いいか、宮さん、一月の十七日だ。来年の今月今夜になつたらば、僕の涙で必ず月は曇らせて見せるから と言い放った日なのだ。 この日の夜が曇り空になるこ…

競 馬

昨日、ディック・フランスの競馬をテーマにした本の話を書いたけど、日本の小説にも競馬を題材にした ええ小説があります。 織田作之助の『競馬』です。 この『競馬』については、ダンデー批評の第一人者と噂の【大ざえもん】さんが、熱い文章を書いてはり …

『日本人への遺書』 と 『仁義なき戦い』

天本英世は2003年に亡くなっている。 その灰の一部は希望通りアンダルシアの川に流されたという。 その天本英世に『日本人への遺書(メメント)』がある。 そうそう、私は天本英世が大好きです。 天本は苦労し努力して「非国民」となった人だ。 『日本人への…

オキュバイド・ジャパン

日本なんて、どうせ、いっぺん亡んだ国や。当たり前ならいま頃は、太平洋の底に沈んでしもうてるはず のを、アメリカのおナサケで、こうして助かってるんや、まさにデカダンスだよ!民主主義もクソもある もんか!いきなりデカダンスへ行くべきだよ!デカダ…

じょうしき

ある山にお坊さんが住んでいた。 勉強も修行もよくなされた方で、そのためか仏様が姿を現すようになった。 ある日近在の猟師が喜捨に来ていたが、お坊さんは仏様の事を話し、一緒に拝まないかと誘った。 猟師はそれはありがたい事ですと承諾し、その晩は寺に…

中勘助

昨日は自由時間があったので、いつも通り古本と中央図書館とアホ友達の一人の所に行ってきた。 この歳になると、時間が出来て街に出てもオネイチャンを追いかけようという気力はない。 いや、昔から追っかけてもつかまえたことがないと言うのが正しいけど。 …

『逝きし世の面影』

名もなく貧しく美しくと言ったりする。 貧しくとも、この人々は本当の豊かさを知っているなんて事もよく言われたりする。 もしそれが本当なら、私はいつも豊かで美しい。 まあ、これはヒネクレ親父の憎まれ口だ。 しかし、貧しさを補おうとする知恵や、貧し…

せ け ん

世間体。 今どきの若い人で、これを「せけんたい」と読む人もいるような気がする。 「世間」という言葉が好きだ。「渡世人」というのも好きだ。 渡世人→http://blogs.yahoo.co.jp/tei_zin/20246745.html 自分の身の丈にちょうど合うし、そこでしか生きてない…

諏訪優と佐野元春、吉本隆明、三上寛、泉谷明

NONAJUNさんの記事。「日本語ロック問題とボクシングをする詩人たち(番外編)」 →http://blogs.yahoo.co.jp/nonakajun/39152519.html この前、この記事に諏訪優と佐野元春の関係についてコメントしたのだけど、諏訪自身の文章を見つけ ることが出来なかった…

谷中草紙・・・諏訪優

今年も谷中に春がきた だから どうしたというのではない ― けれど ― その"けれど"を 手帖にはさんで 女は 日暮里から 山手線をひとまわりする ・・・(諏訪優詩集『谷中草紙』冒頭) 写真は『現代詩文庫・諏訪優』より。 『現代詩文庫・諏訪優』の解説で、吉…

春はあけぼの、夏は化けもの

水木しげるは大好きだ。小さい頃から読んでいる。 ただ、テレビアニメはあまり好きではない。 むかしの貸本や少年週刊誌に連載してた水木しげるが深く印象に残っているのだ。 そこにあったのは、ハラハラドキドキでもなく、明るかったり暗かったりするのでも…

森巣博&正村竹一

およそギャンブル、賭け事のようなものには関心がない。 やったことがないわけではないけど、やってる途中で「なんで、こんなことしてんのやろ?」という気持 ちが生まれてきて、面倒くさくなってしまうのだ。 だからといって、人生そのものが賭けだとも思っ…

山本夏彦・名言集

『何用あって月世界へ』は、山本夏彦の名言集だ。 文春文庫から出ている。山本夏彦の作品から、これといったところを抜き出してまとめたもの。 文庫版で240頁程度でもあり、気が向いたらパラパラとめくっている。 例えば、こんなのだ。 ●善良というものは、…

斬られの仙太

先週は加藤泰の『明治侠客伝 三代目襲名』をやってた、KBS京都の「中島貞夫の邦画指定席」。 今日(10/18)は、山本薩夫監督の『天狗党』(1969)、主演が仲代達矢をやるようです。 封切映画を観ることに積極的ではないです。 たぶん、若い時からの場末の…

お茶漬けナショナリズム

こういうのは、今でもありますなあ。 お茶漬けや蕎麦食って「ん~、日本人でよかったぁ」とかなんとか言う人。 白米幻想も根強い。 「豊芦原の瑞穂の国(瑞々しい稲穂が実る美しい国の意)」なんて大ウソ。 自国だけでは白米を調達できなかった過去ってそん…

『台所のおと』

mizunoene17さんからリクエスト頂きましたので<再上映>致します。 この頃は、食い物の「音」と「匂い」が消えたような気がする。(2007.11.14) ****************************************** 料理の材料はそれ…

斟 酌

しんしゃく【斟酌】 (水、飲料などをくみ分ける意から) 1.酒などをくみかわすこと。 2.あれこれと照らし合わせて取捨すること。参酌(さんしゃく)。「双方の主張を斟酌する」 3.相手の事情、心状をよくくみとること。推察すること。忖度(そんたく…

清張のポスター

家族AとCを病院に連れて行く日だった。 病院は図書館と同じで歩いて五分の所にある。 これも図書館と同じく、私の力で近くに出来たわけではない。当たり前のことか。 待ち時間の間に読んだ本。 おっ!と思うものがあった。 「全九州産業美術連盟国策ポスタ…

三年前に読んだ本ともっと前に読んだ本

PC内のメモから・・・。 <三年前に読んだ本> 山本夏彦 『 誰か「戦前」を知らないかー夏彦迷惑問答 』(文春新書)。 満州事変から敗戦までの期間=天皇制→軍を軸にした統制社会=暗黒というのは戦後民主主義教育の一般 イメージ。丁度、封建時代=お代官…

孤低の人

佐藤春夫が辻潤を評した文でこう書いてます。 「彼と太宰との差は太宰が朴訥な田舎者で自己を語るにヤボな小説体を以ってした所を、辻は翻訳や随想 雑記でした点であろう。」 辻潤と太宰治の一致、重なりを指摘する人はけっこういる。 私は、それほど太宰を…

『 ものろぎや・そりている 』

辻潤のエッセイ『ものろぎや・そりている』の意味がわかった。 monologue/solitaryで孤独者の独り言でいいのか。 怪しい日本語と大阪弁しか出来んので、コメントいただいた方ありがとうです。m(__)m お礼に『ものろぎや・そりている』からお気に入りを。 自…

一日一読・・・村井弦斎

柴田書店のHP/名著復刻図書。 『食道楽』が復刻されております。→http://yumyumtown.com/lib/shokudoraku/index.html 柴田書店はオットコ前やぁ~\(~o~)/ 新聞と同じように、毎日少しづつ読むのが楽しみになっております。 え~と、私の三原則はクドイ…

藤岡蔵六

『悲運の哲学者 評伝 藤岡蔵六』(関口安義)を買った。 たまたま古本であった。 和辻哲郎に学者生命を絶たれた秀才藤岡蔵六の生涯を克明に追っかけたもの。 芥川研究家が、芥川の友人まで辿ったもの凄い仕事と思います。 ひらたく言うと、和辻哲郎にイチャ…

読んだ本の短い感想 四連発

●『秋に墓標を』大沢在昌 結局、大沢の本って、中年のおっさん、ゼンキョートー世代の情けないオヤジのためのハーレクイン・ロ マンスという気がする。その意味ではよう出来てるかも。 ●『博奕好き』高橋順子 詩人で車谷長吉の嫁はん。五十歳近くなってから…

かんじんの豆腐が旨そうではないのだ

病院の付き添いが続くのは構わないけど、全館禁煙は堪忍してくれぇ~。 こんなん読んだ。 『あかね空』山本一力。 第126回直木賞受賞作らしい。4、5年前か? 京の豆腐職人が江戸に出てきて、その京風豆腐で豆腐屋稼業を成り立てていくようなそんな話。 べ…

あの気持ちよくなる点に酒の不道徳性が証明されている

そういえば、むかしシュランダーって水泳選手いましたなあ。 おぼえてます? ランボー? おお、スタローンの映画やな。 ん?違う。 なにアルチューで乱暴、なんちゅう奴や。 ええ、そうじゃなくてアルチュール・ランボー?知らんなぁ。 南らんぼうの親せきか…

霊異記/吉原幸子

吉原幸子の「霊異記」の一節。 正確に思い出す事が出来ないで苛々していた。 歩いて五分の区立図書館にもないので、吉原マニアに電話で聞いた。 また忘れたらアカンので書いておきます。 こんなんです。 過去と同じくらゐに 未来が見えてたまるものか 三尺の…

藤原定家

新古今集断想 ― 藤原定家/安西均 「それが俺と何の関りがあろう? 紅の戦旗が」 貴族の青年は橘を噛み蒼白なる歌帖(かいえ)を展げた 烏帽子の形をした剥製の魂が耳もとで囁いた 燈油は最後の滴りまで煮えていた 直衣の肩は小さな崖のごとく霜を滑らせた …

神農さん

大阪の北浜(中央区)近くにあるのが少名彦神社。 →http://www.kusuri-doshomachi.gr.jp/sinno/sinno.html 神農さん(しんのうさん)と親しまれ、日本の薬祖神である少彦名命(すくなひこなのみこと)ととも に、中国で医薬の神様である神農氏(しんのうし)…

これといった者になれなくても、爺さんになれたら、それでよいではないか

これといった者になれなくても、爺さんになれたら、それでよいではないか。 高木護さんは書いてはります。 高木護さんの『爺さんになれたぞ!』は影書房より2004年3月に出版されております。 高木さんは1927年生まれですから、今年で79歳になられるはずで…