すかたん

 
こないだ、「ポン太爺」さんがコメントで<すかたん>という言葉を使ってはった。

ポン太爺さんは<すかたん>を「罵倒してるのに"愛と諦め"を感じさせる」言葉と書いてはった。

たしかに、そんな感じや思う。


私が小さい頃には、大阪でもまだ普通に使われてた覚えがあるけど、最近は<すかたん>って聞かんよう

になってる気がする。

そういえば、大きくなって、博多の方でも<すかたん>を聞いたことがあるので、<すかたん>は関西限

定の言葉ではないようだ。

正確には、博多で<すかたん>を聞いたのでなくて、そう言われたのだけど・・・。


goo辞書を引いてみたら<すかたん>はこうなってた。

  <すかたん>
  (1)当てがはずれること。だまされること。
  (2)見当違いなことやへまなことをした人をののしっていう語。とんちんかん。まぬけ。すこたん。


たしかに、そうかも知れないけど、微妙に的を外している気がせんでもない。

織田作ゆかりの自由軒のカレーを、横濱カレーミュージアムで食ってるような感じや。

・・・横濱カレーミュージアムに出店しているのは「せんば自由軒」で、「自由軒」ではないけど。

   ついでに、カレーミュージアムも閉店らしい。


やっぱり、自由軒のカレーは自由軒に行って食いたい。


だから、フード・テーマパークみたいなのは嫌いだ。


宮本常一の『忘れられた日本人』の中にも「蘇鉄ミソ」とか、とにかくそこに行って食ってみたいと思う

ようなものが一杯でてくる。

これ、食いもんの本ではないけど。


そんなんで、「すかぶら」や「かばねやみ」という言葉を大阪弁に変換しようなんてアホなことはせんと

いた方がええのだと思った。

「すかぶら」も「かばねやみ」も、食いもんと同じように、その土地で育った言葉やから。


「かばねやみ」は屍病みと書くらしい。

これもフード・テーマパークに陳列されると「怠け者」と変換されるんやろ思う。


それはちゃうと思うのだ。


三つの部屋と台所の住まいに家族10人の暮らしをしていた菅野青顔は、小田原の山内我乱洞のところから

やって来た辻潤を歓迎する。近在の者も何かと持ち寄ってやって来る。

昭和19年の事だ。

菅野青顔の人柄もあるのだろうけど、気仙沼辺りでは「かばねやみ」を怠け者として切り捨てたりはしな

い。そういう土地柄が、辻潤に『かばねやみ』を書かせたのだろうと思う。


菅野青顔については、また書きたい思うてます。



話があっちこっち丁稚してます。

<すかたん>に戻ります。


例えば、約束したのに来なかったような時、こんな風な言い方をします。


「きのう、どないやった?」

「あかん、あいつスカタン食わしよった」

「そうかぁ、あいつ、今度おうたらいわさなアカンなぁ!」



ですが、私の知ってる大阪ではこんな言い方もします。こっちの方がよく使われてる気もします。


「きのう、どないやった?」

「あかん、あいつスッポンかましよった!」

「ほんまけ、ええ根性しとるやないけ」



約束を破る=スッポンかます



いまだに、わけわからんで使こうてます。



そんだけ。