犬が星見た

 
武田百合子さんの『犬が星見た』を読んだのも、ずいぶん昔のこと。

書名に惹かれて買った覚えがある。

いい書名やなぁ思うた。

当然やけど、内容もよかった。


ところで、爺さんや婆さんの通夜の時。

近親の子供が棺の周りを無邪気に走り回り、棺の中の顔に「じいちゃん」、「ばあちゃん」と呼びかけた

りしてた。

・・・ホンマは「ひいじいちゃん」、「ひいばあちゃん」やけど。

それが何よりだった。

やっぱり、そうでないとアカン思うた。


明日や明後日のことなんかどうでもいい。

単純で清潔に「今」を生きたいなぁと思うだけのこと。


佐野洋子さんの『神も仏もありませぬ』の中にも、好きな一文がある。

こんなの。


   青い空に白い雲が流れて行くのを見ると、子供の時と同じに世界は私と共にある。

   六十であろうと四歳であろうと「私」が空を見ているだけである。
   
                     ― 佐野洋子『神も仏もありませね』より



小川雅章という方の『ロンサムドーロ』という絵の犬もええなぁ。

この空は、間違いなく私が育ったオオサカの空やし。




そんだけ。