まむし

 
大阪でウナギをまむしと言う。

そういう言い方もほとんど廃れたけど。

ご飯に「まぶす」からやとか、「間蒸す」からきたとか、曰く因縁故事来歴はいろいろあるらしい。

鰻は、お江戸では切腹を連想するから背開きやし、丼でなくて重箱や。ついでに餅も四角い。

四角張った武士社会の名残かなぁ思うたりする。


まむし。


「おれが大阪市長なら、マムシという言い方を根絶する」

正岡子規が『病床六尺』か『仰臥漫録』のどっかに書いてると聞いたことがある。

立ち飲みで出会ったオッサンの話しやったけど。

その内に確認しとこ。


そういえば、織田作之助が『夫婦善哉』で「ど、ど、ど、どや、うまいやろが、こ、こ、こ、こんなにう

まいもんどこイ行ったかて食べられへんぜ」とと書いた店の中に、「千日前のいづもや」がある。

その「千日前いづもや」も今年閉店した。

くいだおれ>閉店騒動に何の文句もないけど、人形でなくて、「いづもや」の鰻は、間違いなく大阪の

味だった思う。


で、ビョーキ男が、鰻が食いたいなぁと可愛くほざきよった。

高っかいぞ!というたら悲しそうな顔しよった。

なんとかしよう。


ほな。


写真は、いづもやの「まむし」・・・保育社カラーブックス「大阪の味」1968発行より

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