き ょ む

 
 辻潤はたしかに放浪しましたが、放浪と虚無は違うんです。

 放浪というのはわがままなんですよね。

 自由に生きたい、したいようにしたい。これは虚無でもなんでもない。ただ、わがままなんです。

 虚無はそれではないです。虚無はね、一切を捨ててしまう。



『虚無思想研究』第10号(1993.6)に「辻潤について」という座談会が収録されており、引用はその中で

の高木護さんの言葉。

以前、高木さんは「辻潤に捨てきれないものがあったとしたら、たった一つ、インテリゲンチャというこ

とだろう」と書いてはったのを思い出す。

虚無を思想と名の付くものから引き離さないとアカンと思うに至った。


そんだけ。



                返 す


            むずかしいことは判らない


            この世に生まれてきた理由も


            判らない

  
            生きている理由も


            判らない


            なぜ、といわれても判らない


            すみません


            あの世へ逝ったら


            あなたに骨を返します



                                -高木護