関の弥太っぺ

関の弥太郎がお小夜に話しかけます。それは探している妹への言葉でもあるのですが。


  お小夜ちゃん
  
  この娑婆にぁ、悲しいこと、辛えことがたくさんある
  
  だがな、忘れるこった。
  
  忘れて日が暮れりゃ、あしたになる・・・・。
  
  あぁ、あしたも天気だ。



京都の映画館、京一会館

学生でも、勤め人でもなかった私は、前の席に足をのっけた姿勢でこの映画を観ました。

『関の弥太っぺ』


遊びに誘われて夢中になってたら、いつの間にか誰もいなくなってた。

自分の状態はそんな具合でした。


京一っていえば、すぐにこの映画を思い出します。

数少ない、繰り返し観たという映画です。

原作、長谷川伸。監督が山下耕作、主演が中村(萬屋錦之助。1963年製作の映画です。

弥太郎はこの台詞をもう一度、お小夜に言います。


二度目のとき、「あしたも天気だ」と弥太郎は言えない。

弥太郎とお小夜の間にある垣根が「あしたも天気」だと言えない弥太郎の今を物語っております。

この台詞と場面は山下耕作監督によって作られたものと思います。

そんなんです。