マックス辻シュティルナー潤

神や人類が何物にも患わされずに、ひたすら自分のために生きているとすれば、僕らも僕らのこと以外に

は、何物にも患わされずに生きたらどうであろう。

もし神様や人類がすべての内容を持っているとすれば、それはそれで承認しよう。要するに僕は何も持っ

ていないことになるのだ。

だが僕は何も持っていないが故に、これからすべてを獲得する。

無から、僕自身は創造者として一切のものをつくりあげる。

僕の事でないものは全部去れ!

僕の事は善でもなければ悪でもない。神の事は神の事。人間の事は人間の事である。

僕の関心事は、神のことでもなければ人間の事でもない。

唯一無二のわが事でしかないのだ。僕にとって僕以上のものは何もない!

             シュティルナー『唯一者とその所有』(辻潤訳/『自我教』)


唯一無二のわが事。

この観点にたてば、普通われわれが「精神」と呼んでいるものすらわが事ではないとシュティルナーは言

います。

精神は肉身のない精霊もしくは亡霊にすぎない。しかし現代人は、幽霊などというものの実在は認めたが

らないくせに、あらゆる感性的世界の背後に超感性的世界を認めようとする。そのためにこの地球上には

幽霊が満ち満ちていると。

シュティルナーは、そういう一切のお化けから自由になりなさい、思想の奴隷であることから脱れなさい

と奨め「自己」の「所有」を語るのです。


血肉の刹那的自我。


思想を生活(行為)に転換する時にのみ、その人は思想の所有者である。(辻潤/ダダの話)


当の人間は、憧れの的である未来にあるのではなく、現に今ここに生存しているのである。たとえ僕が 

如何様にあり、何者であろうとも、悦びに溢れていようと、悲しみに閉ざされていようと、また子供で 

あろうと老人であろうと、安心していようと疑惑に陥っていようと、眠っていようと醒めていようと、僕

はそれであり、本当の人間である。(シュティルナー/唯一者とその所有)


引用だらけでした・・・正確には引用のみでした。