再_上_映

『白痴は予言する』

辻潤の翻訳を集めたものに『螺旋道』があります。 『白痴は予言する』は、ヘッセが『白痴』のムイシュキン公爵について書いたものの訳です。 けっこう長いですが、私なりに書き抜いていた所を部分掲載します。 『白痴は予言する』ヘッセ/辻潤訳から これ等の…

『Mの出家とIの死』

僕は自分が病人であり、貧人であり、低人であるが故に、自分と同じような人々と苦悩や悲哀を 分かちあいたいと思っているだけだ。(『Mの出家とIの死』) 辻潤はこんなことを書いている。 ようするに、辻潤は、自分の苦しみを書くことで、他人の苦しみを癒…

場所の記憶

カツテ、幾人カノ外来者ガ、案内者ナクシテ、コノ密集地域ノ奥深ク迷ヒ込ミ、ソノママ行先不明トナリシ事ノアリシト聞ク・・・。 武田麟太郎の『釜が崎』は、こんな書き出しで始まる。 私も17歳で家出してからのしばらくをここで暮らした。 血縁も地縁も関係…

永遠の今という考え方がそこにあらわれる

【以下は全て引用です】 永遠の今という考え方が、そこにあらわれる。 この考え方は、人間とともにあったと言えるかもしれない。 哲学史の上で、何度か、この考え方はあらわれる。 大学で哲学を講じるものは、明治から大正にかけて、この考え方にふれること…