上 野 英 信

上野英信の「闇」

上野英信が自らの「闇」について書いております。 長い引用ですが、写しておきます。 上野英信は筑豊との出会いをこう書いております。 「筑豊の闇が私をつつんでくれなかったとしたら、私は果たしてどうなっていたことか。そう想像するた びに、血が凍るよ…

『骨を噛む』より

カンテラの灯のように明滅する地底の唄をたどりながらわたしは、出稼ぎ坑夫のふるさと、南九 州のシラス台地のひだの奥で耳にした、ひとりの老爺のつぶやきをまざまざと思いうかべずには おれなかった。 うたは むごにききやい みちゃ めくらにききやい りく…

ゴットン節

少し前に、山本作兵衛の唄う『ゴットン節』のあるサイトを見つけた。 上野英信宅で唄っているのを英信の息子の朱(あかし)さんが録音されてたそうだ。 『ゴットン節』はこんな歌詞。 ♪七つ八つからカンテラ下げて 坑内下がるも親の罰 親の因果が子にまでむ…

山本作兵衛のこと

この頃、山本作兵衛や上野英信の名前を見かけることが多い気がする。 今日も朝日の読書欄に『追われゆく坑夫たち』のことを<大切な一冊>というコーナーで本橋成一という 写真家が書いていた。 まあ、そうは言っても今でも品切れや絶版が多いのは多いようだ…

むごのうた

上野英信に『地の底の笑い話』があります。 岩波新書、1967年初版です。今、流通してるかどうかはわかりません。 「わたしが笑い話の残片を拾い集めてまわったのも、ただただわたし自身の冷えきった血を温めたいが ためにほかならない。・・・臆面なくこのよ…

サークル村の三人

朝日新聞の夕刊で「現代の漂白」というシリーズが始まっている。 だいたい世の中が息苦しくなってくると、この手の企画がどこかで始まる。 「漂泊」、「リバータリアン」なんて言葉が飛び交うけども、彼らの存在した事の意味を探るより、夏の 暑い日に見る金…

「スカブラ」でありつづけた人・・・上野英信

2011.3.17 「井の中の蛙 大海を知らず」という。 そうではない。井戸の深さを知りえた蛙は、大海の広さを推測できる。大海を泳いでいるからといって、その大きさを理解出来るものではない。と解釈したのが吉本隆明。 その通りの人がいた。 九州の炭鉱から、…