生活感

   
図書館で借りている、吉田一郎『世界飛び地大全』(社会評論社)をパラパラと読んでいる。

サブタイトルは<不思議な国境線の舞台裏>。【国際地理BOOKS vol.1】とあるのでシリーズらしい。

評判になったかどうかは知らない。

この本の詳しいことはココを→http://www.shahyo.com/book/0971.htm

私は「飛び地」が大好き人なオッサンなんで、書名で飛びついた。


少し前には、和歌山県東牟婁郡は北山村に行ったりもした。

ここは、「じゃばら」で有名になったけど、周囲は三重と奈良県で、和歌山との繋がりは北山川だけ。

でも、その川が村の材木を和歌山と結んでいることが飛び地の由来のようだ。

ちなみに郵便番号は和歌山は64番台だけど、北山村は51番台の三重県の番号になってたりする。


材木と言えば、全然関係ないけど、宗左近の詩にこんなのがあったと思う。

山の枯れ木を盗んだ者が、その罪を問われるのだけど、こう言い返すのだ。

「確かに私は枯れ木を盗んだけど、お前は山盗んでる!」

うろ覚えだけど、こんな内容だった。

この詩は、たぶんマルクスがライン新聞主筆やった時の論文「木材窃盗取締法に関する議論」を意識して

書かれたもんやと思う。

要するに、他人の所有地の枯れ木を取ることを窃盗とするなら、山の所有者は「ほんなら、お前は誰のも

んでもない山をどうやって自分のもんにしたんや?」そんなような話だ。

そんな疑問からマルクスは「所有」という事を考えていったのだろうと思う。

まあ、宗左近の詩を読んだ時には、とにかく詩人の言葉は凄いもんやと本当に思った。


もう一つ関係ないけど、鹿野政直の『「鳥島」は入っているか』も面白い本やった。

・・・日本地図では南端の「鳥島」などはしばしば省略される.歴史を考える時,見るべくして視野の外

に置かれがちな問題を見落さず,今と未来を見定めたい.戦後の日本人の関心や想念の推移を歴史学の問

題として考えた好著(岩波書店の紹介記事から)・・・というような本やった。


私はこんな具合に省略されたり、切り揃えられなかった所が好きなオッサンだ。

テレビでも「この放送は一部の地域を除いて」とアナウンスされると、その一部の地域を調べたり、行き

たくなったりする。


家の近くも再開発が進んで、ウネウネした道が直線になってきている。駅前もいずれは変わるだろう。

駅ビルが建って、味と匂いのしないキレイキレイな食堂街なんてのが出来てくるのが予測できる。

こうしてキレイに切り揃えて行くのが、お上の習性だろうけど、家の近所にも「飛び地」のように居座っ

ている家がまだまだある。

これが楽しくてしょうがないのだけど、去年辺りから胡散臭い人間が目に付くようになってきた。

おそらく、いろんなドラマが始まっているのだろう。


ヒロシです…生活感のない部屋に模様替えしたら、生活できなくなりました。

そんなんがあったけど、世間はそんな感じになっております。

むりやり、そんだけ。